MINIの基礎知識

ミニクーパーは凍結路、雪道に強いの?弱いの?

2024.10.01MINIの基礎知識


2021年全国MINI最優秀ディーラーに質問しました!
回答者:MINI西東京 サービス・ス-パーバイザー 照井博文(てるい ひろふみ)
岩手県出身。中学生の頃にスポーツカーに夢中になり、整備士に興味を持ち始める。2008年にMINI西東京を運営するモトーレン東都に入社し整備士になる夢を叶え、現在はMINI西東京の副工場長を務めている。趣味はキャンプ。

 

MINI西東京
住所:東京都東久留米市弥生1-1-36(地図
電話:042-462-3298
営業:10:00~18:30(土日は9:30オープン)
定休:火曜
Webサイト:MINI西東京

ミニクーパーが冬に強い理由とは?

ミニは厳しい冬があるヨーロッパ生まれ

ミニが生まれたヨーロッパでは冬に頻繁に雪が積もる地域は珍しくありません。そういった地域でもミニは数多く販売されているのですから、東北や北海道のような厳しい冬がある地域でも何の問題もなくミニを楽しむことができます。ALL4(四輪駆動)モデルではないFF車でも、ミニの足回りに採用されているトラクションコントロール(※)のおかげで安心して運転することができます。
※前輪の駆動状況をモニターし、危険を感知した際にはエンジン出力やブレーキを調整する機能。

そこで今回はミニのボディ、特に塩化カルシウムなどの融雪剤でダメージを受けやすいとされているボディ下のタフさについてご紹介します。道路の雪を溶かすために道路にまかれる塩化カルシウムは錆を誘発することは聞いたことがある人は多いでしょう。そのため、雪国の洗車場では他の地域にはない下回り洗浄機能が用意されています。

ミニのボディ下は錆に強い

雪国を走るクルマは常にこういった錆との戦いにさらされています。雪解け水をまき上げ、ボディ下が汚れやすい季節ですが、水を使った自宅での丁寧な洗車は冬は寒すぎて現実的ではありません。そこで冬はお湯で洗車ができる洗車場などに頼ることになります。洗車回数がどうしても少なくなるため、汚れがのりにくく落ちやすいガラスコーティングや錆対策のためのボディ下コーティングが人気になります。ボディ下コーティングはいくつかのグレードがありますが、雪国では車検ごとに何らかのコーティングオーダーする方も多くいます。

嬉しいことに、ミニやBMWのボディ下は一般のクルマに比べると錆びにくくできています。ボディは路面の跳ね水や汚れから車体を守るカバーで覆われていますし、マフラーも腐食に強いステンレス製が採用されています。一方の国産車では高級車はもちろん違いますが、軽自動車は塗装が弱く、新車購入から数年もするとフェンダーアーチの部分が腐食し、穴が開いてしまう車もあります。

そういった腐食を保証するために国産車では5年間の穴あき錆保証が用意されていますが、MINIは穴が開くような錆については、12年(走行距離無制限)の保証がついています。塗装の強さによほど自信を持っているのでしょう。

スチールホイールやサスペンションアームは錆への注意が必要

ボディ下の部位で錆に気をつけて欲しいのは、しなやかな足回りの動きに重要なサスペンションアームや一部グレード(ONE)に採用されていたスチール製ホイールです。スチール製ホイールは表面にコーティングはされているものの、飛び石などでダメージを受けることが多いですし、路面から跳ねあげた水と一緒にまき上げた鉄粉やブレーキダストが刺さり、それが融雪剤と結合して錆になることもあります。

路面から巻き上がった鉄粉が原因の錆はフロントグリルやバックドア周辺でも発生します。赤い斑点のような錆が見つかったら、それが原因の錆だと考えてください。ちなみに雪国ではほとんどの人がスタッドレスタイヤ用のホイールと、それ以外の季節用のホイールを用意しています。タイヤ交換よりホイールごとの交換の方が工賃がお得ですし、作業時間も早いですから。冬は他の季節よりホイールへのダメージがありますから、スチールホイールをスタッドレスタイヤ専用、アルミホイール(純正ではアロイホイールという名称)はそれ以外の季節専用にするといいかもしれません。

ミニは全車ヒーター内蔵のドアミラーを採用!

また、カタログにも特に表記されていないことですが、ミニは全車ヒーター内蔵のドアミラーを採用しています。多くの国産車では寒冷地仕様でないと採用されない装備です。吹雪の中、ヒーターミラー無しの車に乗るとヒーターミラーの有難さがわかりますが、ミラーに雪が付着すると後方視界が奪われてしまい、非常に怖い思いをします。また、ウォッシャーノズルにもヒーターが装着されており、ノズルが凍って洗浄液が出ないなんてこともありません。

その他、雪国ならではの注意点

凍結防止のための冬用ワイパー

寒さが厳しくない人は想像もしていない場所が雪国では凍ることがあります。代表的なのはワイパーです。一般的なワイパーでは骨組み部分に付着した水分が凍り、ワイパーが正常に作動しなくなることがあります。ワイパーが動かなくなるワケではないのですが、ガラス面を氷で拭くことになり、視界が確保できなくなってしまうんです。その対策としてシリコンラバーで骨組みが覆われた冬用ワイパー(ウィンターブレード)がこちらでは一般的です。

誰もが冬用ワイパーに交換しているわけではありませんが、郊外や山岳地帯を走る機会がある人にはオススメのアイテムです。ミニのメーカーオプションにはヒーテッド・ウインドスクリーン(熱線入りガラス)という雪国では便利な装備がありますが、吹雪の場合は窓の熱線だけでは視界は確保できません。窓にうっすらと積もりはじめる雪をかき出すのにワイパーは必要です。また、窓枠のゴムが凍ってドアが開けられなくなることが雪国ではたまにあります。その防止策としては冬になる前にシリコン系のケミカル剤を窓枠のゴムに塗り込むのがおすすめです。

雪国のドライバーは冬にサイドブレーキを引かない

雪国の人にとっては当たり前の話ですが、気温が低い日にはブレーキの凍結でサイドブレーキが解除できるなくなることがあります。そのため、雪国では冬にサイドブレーキをかけない人が多いです。多少引きずっていても熱が加わればサイドブレーキは解除できるので、走行不能になることはまずありませんが、気温によってはサイドブレーキは使わない方が無難でしょう。念のために書いておきますが、サイドブレーキを使わない場合でもAT車であれば「P」に入れるようにしてくださいね。

真冬にオーバーヒート?

深い雪が積もっていてフロントで雪を受けてしまうとフロントグリルに雪が残ったままになることがあります。この場合、エンジンルームに走行風が入らず、エンジンの冷却が間に合わず真冬なのにオーバーヒートになってしまいます。ミニは油温がわかるセンサーが無く、油温が上がり過ぎるとチェックランプが点灯する仕様です。

そのため「チェックランプの故障?」と思いがちですが、そういった際はフロントグリルをチェックしてみてください。また、一度オーバーヒートしてしまったオイルはオイル性能の劣化が顕著です。まだオイル交換サイクルになっていなくても交換するようにしてください。

冬は燃費が1km/Lほど下がる

冬は車内で常に暖房を使っており、クルマの暖房はエンジンの排熱を利用する仕組みになっていますが、それでも燃料消費が増えることは避けられません。また、スタッドレスタイヤは通常のタイヤよりゴムが柔らかく、路面との抵抗が大きくなり、これも燃費の悪化に繋がります。正確に測ったワケではありませんが、他の季節より1km/Lほど燃費が悪くなるでしょう。

積雪時の靴選び

溝が深く、足首までカバーする靴がオススメ

ミニと関連する話題ではありませんが、雪国以外の人は意外と知らないマメ知識を紹介しましょう。「雪国の人は雪の上を歩くのに慣れている」と感じたことはありませんか? 確かに慣れもあるのですが、雪の上や凍結路面を歩くのに向いた靴があります。雪国に住む人が冬に履くのは、溝が深かったり靴底にギザギザが入ったりする冬靴です。夏と冬で履く靴が実は違います。夏用タイヤと冬用タイヤの違いと同じ違いが靴底にもあるんです。ピンスパイク付きの長靴も販売されています。

また、靴の中に雪が入ってこないよう足首まで覆う靴を履くようにしてください。一般の革靴では革が薄くて寒いですし、溶けた雪で靴下が濡れ、さらに寒い思いをすることになりますよ。スニーカーも水に弱いので雪国ではオススメできません。

取材協力:MINI西東京
住所:東京都東久留米市弥生1-1-36(地図
電話:042-462-3298
営業:10:00~18:30(土日は9:30オープン)
定休:火曜
Webサイト:MINI西東京