BMW MINIの世代による違い
2001年に登場した新生ミニは3つの世代にわけることができます。BMW開発の初代モデル、第1世代、2007年から登場した第2世代、そして2014年に登場した第3世代です。現在、新車で購入できるのは第3世代のミニだけになります。新車で購入する人は最新モデルの情報を追えばいいのですが、中古車の購入を検討する場合、1~3世代のミニが選択肢に入ってきます。そこで、この記事では各世代の違いを紹介しましょう。
第1世代ミニ(2002~2009年)
クラシックミニの伝統を受け継いだ新生BMWミニ
新生ミニの第1世代は海外では2001年から、日本では2002年3月2日に販売が開始されました。ローバーミニ(クラシック・ミニ)と同様、車両前方にエンジンを配置し、前輪で駆動するFF方式(フロントエンジン‐フロントドライブ)は新生ミニでも健在、多くの人に愛されてきたレトロなデザインも踏襲されました。
大きく変わったのはエンジンです。BMWとクライスラーが共同開発した1.6L直列 4 気筒 SOHCエンジンの最高出力はOneでは90ps、クーパー(Cooper)で116ps、スーパーチャージャー搭載のクーパーS(Cooper S)では170psものパワーを発揮するようになりました。ローバーミニと比べると車体が少し大きくなったもののパワー向上が著しく、一般道から高速道路まで快適に走ることができるようになっています。
ABSが全モデルに標準装備されているのも、新生ミニの特徴です。また、ローバーミニの特徴であったゴーカートフィーリングと呼ばれる軽快なハンドリングも健在で、かつてのミニを知る人も楽しめるモデルでした。ただし、第1世代は初期モデルだったせいか、いくつかのトラブルが報告されています(特にCVTのトラブル報告が多い)。不安な方は信頼性がさらに向上した第2世代モデルの購入をオススメします。
第2世代ミニ(2007年~)
信頼性とパワーが格段に上がった第2世代
第2世代のミニは2007年にミニ(ハッチバック)がモデルチェンジされ、販売が開始されました(コンバーチブルは2009年4月に第2世代にモデルチェンジ)。ミニ独特のレトロなデザインに外観上の大きな変更はありませんが、第2世代ではBMWとプジョー社の共同開発の新型エンジンを搭載、BMWで培った技術がミニにフィードバックされ、出力と燃費の向上に成功しています。
また、第1、第2世代の両方を知るユーザーからは「ハンドルが軽くなった」という声が上がっています。第1世代のミニはゴーカートフィーリングと呼ばれる走りを実現するために、油圧式の少し重さを感じるパワステをあえて採用していました。第2世代からは電子制御のパワステが採用、この結果、ハンドル操作が軽快になりました。これは女性には嬉しい機能と言えるでしょう。従来のステアリングの感覚を求める人は、シフトレバー前にあるスポーツボタンを押せば従来のしっかりとしたステアリング感覚が味わえます。
第1世代から変更された点をまとめると…
特に大きな変更点
新開発のエンジン
BMWとプジョーの共同開発による最新のオールアルミ製DOHCエンジンを採用。出力と燃費、両方の向上に成功。クーパーSでは従来のスーパーチャージャーに代わりターボチャージャーを搭載。
ミッションの変更
第1世代の5MT (ミッション)or CVT(オートマと似た機構)から6速MT or 6速AT(一般的なオートマ)へ変更、第1世代よりミッションの信頼性が向上。6速ATではステップトロニック機能(マニュアルモード付きのオートマ機能)が搭載され、ステアリングに搭載されたパドルスイッチでシフトダウン、アップが可能。
MT車にヒルアシスト機能の搭載
坂道発進時にブレーキペダルから足を離しても2秒間ブレーキが利いたままで後ろに下がりません。
電子制御のパワステを採用
第1世代より軽いハンドルを実現。スポーツ走行向けに適したハンドリングを実現するスポーツボタンも用意。
その他の変更点
- ヘッドライト、フォグランプなど灯火類のデザイン変更
- 上下分割だったフロントグリルを一体型に変更
- スピードメーターの大型化
- 6つのエアバッグを全車標準装備
- 横滑り防止装置(ASC+T)を標準装備
- 室内スイッチ類(トグル・スイッチ)のデザイン変更、ボタンサイズを使いやすいサイズへ
- 第2世代後期からボディバリエーションが増加
ミニクロスオーバーやミニペースマン、ミニクーペなどの多くのボディバリエーションは第2世代で登場
第3世代ミニ(2014年~)
信頼性とパワーが格段に上がった第3世代ミニ
2014年4月から発売された第3世代ではミニらしいデザインはそのままに快適性が大幅に向上しています。新設計のエンジンで出力、燃費が向上したのはもちろん。第2世代のクロスオーバーで登場していた5ドアモデルがハッチバックモデルにも登場しました。また、ボディサイズを少し広くした結果、ドライバー側も後部座席も広くなり、積載スペースも第2世代より32%広く取られています。インテリアデザインも変更され、スピードメーターはステアリングホイール前面に移設。足回りでは電子制御式ダンパーを採用、路面状況やドライバーの好みでダンパーの硬さをボタン1つで設定できるようになっています。
第2世代と第3世代での変更点を挙げると…
変更点一覧
ボディサイズが一回り大きく
ボディサイズが第2世代より全長+98mm、全幅+44mm、全高+7mm車体が大きくなっています(第3世代ハッチバックと第2世代との数値比較)。結果、室内空間が広くなり、積載スペースも第2世代より32%増の211Lとなりました。
新型エンジンの搭載
クーパーSには2L 4気筒直噴ツインパワーターボエンジンを、クーパーには1.5L 3気筒直噴ツインパワーターボエンジン、Oneには1.2L 3気筒直噴ツインパワーターボエンジンを搭載。Oneとクーパーは第2世代より気筒数も排気量も減ったものの、ターボシステムのおかげで第2世代より出力、トルクとも向上している。燃費も第2世代より10%向上。
ディーゼルエンジン搭載モデルが増加
先代モデルではミニクロスオーバー、ミニペースマンのみでディーゼルエンジンモデルが販売されていましたが、2016年4月以降、ミニ3ドアや5ドアにもディーゼルモデルが登場しています。
変速システムが7ATや7DCTに進化
2018年3月のマイナーチェンジ以降の話になりますが、従来の6ATから7ATや7DCTに進化しています。
ミニドライビングモードの採用
グリーン、ミッド、スポーツの3モードを用意。シフトレバーの根元のスイッチでモードを変更することで、スロットル・レスポンス、ステアリングサポート、エンジンサウンドが体感できるレベルで変わります。
電子制御式ダンパーを採用
ドライバーの好みや路面状況に応じてダンパーの設定変更が可能。
速度に応じてステアリングの重さを自動調整するサーボトロニック機能を標準装備
低速時はハンドルが軽く、高速巡航時は重くなり、安定したドライビングが可能になります。ハンドルの重さが気になりがちな女性に嬉しい新機能です。
インテリアの変更
センターに位置していたスピードメーターがステアリング前に移動し、従来の場所にはセンターディスプレイを配置。
世代、グレード別、ミニ3ドアの比較表
第1世代から第3世代でボディサイズ(全長・全幅・全高)やエンジンパワーはどれくらい差がでているのでしょうか。ここではミニ3ドアの各世代ごとのカタログスペックを取りまとめて比較しました。ミニ中古車購入前にぜひチェックしてみてくださいね。
ミニONEの世代比較
第1世代 | 第2世代 | 第3世代 | |
---|---|---|---|
全長(mm) | 3,625 | 3,700 | 3,835 |
全幅(mm) | 1,690 | 1,685 | 1,725 |
全高(mm) | 1,425 | 1,430 | 1,430 |
重量(kg) | 1,130 | 1,130 | 1,210 |
排気量(cc) | 1,598 | 1,396 | 1,498 |
最高出力(ps) | 90ps/5,500rpm | 95ps/6,000rpm | 102ps/4,000rpm |
最大トルク(Nm) | 140Nm/3,000rpm | 140Nm/4,000rpm | 190Nm/1,400rpm |
燃費(km/L) | 15.4 | 17.2 | 17.8 |
ミニクーパーの世代比較
第1世代 | 第2世代 | 第3世代 | |
---|---|---|---|
全長(mm) | 3,625 | 3,700 | 3,835 |
全幅(mm) | 1,690 | 1,685 | 1,725 |
全高(mm) | 1,415 | 1,430 | 1,430 |
重量(kg) | 1,140 | 1,170 | 1,210 |
排気量(cc) | 1,598 | 1,598 | 1,498 |
最高出力(ps) | 116ps/6,000rpm | 120ps/6,000rpm | 136ps/4,400rpm |
最大トルク(Nm) | 149Nm/4,500rpm | 160Nm/4,250rpm | 220Nm/1,250rpm |
燃費(km/L) | 14.4 | 16.8 | 17.7 |
ミニクーパーSの世代比較
第1世代 | 第2世代 | 第3世代 | |
---|---|---|---|
全長(mm) | 3,655 | 3,715 | 3,860 |
全幅(mm) | 1,690 | 1,685 | 1,725 |
全高(mm) | 1,445 | 1,430 | 1,430 |
重量(kg) | 1,180 | 1,210 | 1,270 |
排気量(cc) | 1,598 | 1,598 | 1,998 |
最高出力 | 170ps/6000rpm | 175ps/5500rpm | 192ps/5,000rpm |
最大トルク | 220Nm/4000rpm | 240Nm/1600~5000rpm | 280Nm/1250rpm |
燃費(km/L) | 12 | 14.4 | 16.4 |