MINIの基礎知識

ミニ初の電気自動車(EV) MINI E(ミニE)を徹底解説

2022.06.30MINIの基礎知識

BMW社のEV研究の40年の歴史

 


今回は、全世界で実証実験が開始されており、日本でも注目のMINI Eに改めて焦点を当ててみたいと思います。このMINI Eは、第2世代ミニハッチバックをベースにパワートレインを電気モーターに換装したモデル。これはBMW社が長期的に目指しているゼロエミッションプロジェクトの主柱の1つです(もう一つは水素燃料技術)。

BMW初EV「E1」から20年

そもそもBMW社は約40年前から電気自動車(以下、EV車)の研究開発を続けてきました。特にEVという言葉も浸透していない1991年に衝撃のデビューを飾った「E1」のニュースは、全世界を駆け巡りました。バッテリーのパワーや耐久性も不十分であった時代にも関わらず、BMW E1は最高速度120km/h、航続距離は200km(エアコンを使用すると100-150km程度か)という性能を持っていました。もちろん実用性という観点では不十分ではありますが、今後に期待がもてるモデルとして注目されたのです。そして2010年。約20年の時を経て完成、実証実験にたどり着いたのがこのMINI Eなのです。

MINI Eのパフォーマンス

後部座席がなくなり、バッテリーに

MINI Eの最大のポイントであるバッテリーは、ミニR56で言う後部座席に置かれます。MINI Eでは後部座席は取り払われ、巨大なバッテリーが鎮座。このバッテリーは、最大蓄電容量は35kWh、通常は28kWhを供給できるようですね。バッテリー性能をアップさせる上で重要とされる冷却ですが、今回は自然冷却となっています(今後はさまざまな冷却方法をテストしていく予定と発表されています)。

最大航続距離は240km


さて注目の航続距離ですが、240kmとのこと。往復で行けば100km未満ということになるが、通勤やちょっとした買い出しに使うなら十分かもしれません。実際BMWでは、EVではまずこういった使い方を考えており、急速充電インフラは不要という結論に達しているようですよ。事実、今回は普通充電のみの対応のようです。ちなみに充電方法は、ガソリン車のフューエルキャップにある端子にプラグを挿して行います(写真参照)。

ジョン・クーパー・ワークスに迫る200psのパワー


さてMINI Eのパワーだが、最高出力が150kWh(200ps)、最大トルクが220Nmと非常に高く設定されている。これはミニクーパーS(184ps)を上回り、ジョン・クーパー・ワークス(211ps)に迫るものとなっています。EV車両はミニに限りませんが非常に加速が強いため(モーターのトルクの立ち上がりが鋭い)、運転には少々注意をする必要がありそうですね。
ちなみに今回のMINI Eは現行ミニと同様にFF車両ですが、前後重量配分がBMW伝統の50:50となっています。これは、車体後部に260kgにも及ぶ大型バッテリーを搭載しているのが理由のようです(車体重量は1460kg。ミニクーパーR56のATモデルは1170kg)。

強力な回生ブレーキ

EVモデルやハイブリッドモデルは回生エネルギーを利用するのが常ですが、MINI Eも例外ではありません。今回のMINI Eは非常に強い回生ブレーキを使っており、アクセルを全閉にするだけで、フルブレーキの約30%の制動力が出るとされます。これはアクセル操作だけで車体を停めたり、走らせたり出来るということ。電力を少しでもムダにしないという、取り組みの一つですね。

日本でのMINI Eの実証実験について

日本でのMINI Eの実証実験について

日本でも実証実験が、2011年より開始されました。日本に導入された実験車両はわずか20台となっています。