MINI新車購入ガイド

ミニ ジョンクーパーワークス(JCW)新車購入ガイド

2023.08.01MINI新車購入ガイド

ジョン・クーパー・ワークス(JCW)って何?


ミニ ジョン・クーパー・ワークス(以下、JCW)はメーカーがチューニングした車でスポーツマインドが溢れるミニです。しかし、それだけがJCWの魅力ではありません。走りの個性もJCWの魅力ですが、JCWでしか選べないボディカラーやエクステリアやインテリアの高級感もJCWの魅力です。もう少し気軽にミニ購入の際の選択肢になって欲しいJCWの魅力について、これからご紹介させていただきます。

ジョン・クーパー・ワークス(JCW)の歴史


まずは簡単にジョン・クーパー・ワークスの歴史からお話しましょう。BMW MINIにジョン・クーパー・ワークス(以下、JCW)の名が登場したのは、2005年10月に発表された「ジョン・クーパー・ワークス・チューニング・キット」が最初です。

このチューニング・キットはエンジンや吸排気をチューニングするだけのキットでしたが、2006年7月、まだ第1世代のミニが現役だった頃に「ジョン・クーパー・ワークスGPキット」でチューニングされたミニ クーパーS(R53)が発売されました。現在のJCWはクーパーSの上位にある、最高峰のグレードとして各ボディバリエーションにラインナップされていますが、2006年時点ではジョン・クーパー・ワークスの名を冠するモデルは台数限定の特別なチューニングカーという位置づけでした。このミニは世界で2000台が販売され、日本には200台が導入されています。

「ジョン・クーパー・ワークスGPキット」でチューニングされたクーパーSは「ミニのスポーツ性能をどこまで高められるのか」をテーマに軽量化のためオートエアコンの採用を見送ったり、電動ミラーを採用しなかったり…後部座席を取り払い、標準でレカロ製シートも採用したりしていました。また第1世代モデルにも関わらず、第2世代から採用されたリアサスペンションをいち早く採用しています。ちなみに2013年に第2世代のハッチバック(R56)でもクーパーSをベースに「ジョン・クーパー・ワークスGP」を販売し、日本には200台が導入されました。

エンジンと吸排気をチューニングするJCWチューニング・キット

第2世代でもエンジンと吸排気のみをチューニングする「ジョン・クーパー・ワークス・チューニング・キット(クーパーSのみ購入可能、約32万円)」がメーカーオプションに設定されるようになりました。足回りやエアロパーツはキットに含まれませんが、ミニのエンジンのポテンシャルを知りたいという方にはオススメのキットです。第3世代用のジョン・クーパー・ワークス・チューニング・キットも2014年11月に「JCWパッケージ」という名前で発売されています(グレードによって価格差があり、35~45万円)。

グレードとしてのジョン・クーパー・ワークス(JCW)は2008年に登場

エンジンチューニングパーツだけではなく、エアロパーツや足回り、インテリアまでが特別仕様のミニの最高グレードとしての「ジョン・クーパー・ワークス(JCW)」が登場したのは2008年9月のことです。第2世代のR56で最初のJCWが設定されました。その後、各ボディバリエーションにJCWがラインナップされていきましたが、当初はMT車のみの設定でAT車がJCWに設定されたのは2012年12月以降になります。

第3世代ミニのジョン・クーパー・ワークス(JCW)は2015年にデビュー


第3世代ミニのジョン・クーパー・ワークスは2015年にミニ3ドアでデビューしています。その後、ミニコンバーチブルやミニクラブマン、ミニクロスオーバーでもJCWは登場しています。ミニ5ドアのみJCWの設定がありませんが、ファミリー向けモデルのミニ5ドアの購入ユーザーにはJCWほどのスポーツモデルは求められておらず、設定がないのでしょう。

また、第2世代ミニ3ドア(R56)と同様、第3世代ミニ3ドア(F56)でも史上最速モデルの「ジョン・クーパー・ワークスGP」が限定モデルとして2019年11月に発売されています。国内導入は240台限定と非常にレアな車両なので、街中や店頭で見かけた際はじっくりご覧ください。

ジョン・クーパー・ワークス(JCW)のスペック

クーパーSとの違いとは?

ここからはクーパーSと上位グレードのJCWの違いについてお話します。
※スペックはミニ3ドアのミニクーパーS、ミニクーパーSD、JCWで比較

ミニ3ドアのミニクーパーS、ミニクーパーSD、JCWのスペック比較

クーパーS クーパーSD ジョンクーパーワークス(JCW)
標準車両本体価格 390万円 403万円 470万円
駆動方式 FF FF FF
車両型式 3BA-XR20MW 3DA-XY20MW 3BA-XRJCWMW
全長 3,860mm 3,860mm 3,875mm
全幅 1,725mm 1,725mm 1,725mm
全高 1,430mm 1,430mm 1,430mm
ホイールベース 2,495mm 2,495mm 2,495mm
車両重量 1270kg 1310kg 1290kg
乗車定員 4名 4名 4名
エンジン種別 直列4気筒DOHCターボ 直列4気筒DOHCターボ (ディーゼル) 直列4気筒DOHCターボ
排気量 1998cc 1995cc 1998cc
トランスミッション 7AT 8AT 8AT
使用燃料 ハイオク 軽油 ハイオク
燃料タンク容量 44L 44L 44L
最高出力 192ps 170ps 231ps
最大トルク 280Nm 360Nm 320Nm
燃費(JC08モード走行) 16.4km/L 21.2km/L 15.8km/L
最小回転半径 5.3m 5.3m 5.3m
タイヤサイズ 205/45R17 205/45R17 205/45R17

扱いやすくチューニングされたバランスの良さがJCWの魅力

ミニ3ドアでのクーパーSとJCWの価格差は67~80万円です。クーパーSを凌ぐエンジンパワーに加えて、特別なスポーツサスペンションを装備しています。吸排気も強化されたエンジンに対応した専用設計になっているのですが、メーカーチューニングモデルのため車検にも対応、安心してお乗りいただけます。

JCWのオススメできるポイントは、各種規制に対応しているだけではなく、誰にでも乗りやすいバランスのいい車に仕上げていることです。チューニングの世界、特にサーキットを走るような車だと「サーキットで一番速い仕様にチューニングする」ことが当たり前です。そのため街中では扱いにくい車になることもあるのですが、ショップのチューニングカーの場合はオーナーさんもそれをわかった上でチューニングしているので問題はありません。

しかし、全世界でメーカーが販売するモデルとなるとそうはいきません。ミニの潜在能力をできる限り高めたモデルとはいえ、プロドライバーのように車の運転に長けたオーナーさんばかりではありませんから。また、渋滞に巻き込まれたり、STOP&GOが多い街中で走ったりするときに扱いにくくては気軽に乗ることができません。どんなドライバーがどんなシーンで運転しても楽しめるよう、性能と扱いやすさのバランスを取ったミニの最高峰モデルがJCWなのです。

ちなみに、JCWとONEやクーパーは同じシャシーを使い、ボディもほぼ同じモノを使用しています。軽量化のために特別なパーツを採用している部位もありますが、ミニはボディ剛性が非常に高いのでONEと同じボディでもJCWのパワーを充分に受け止めることができるのです(ブレーキなどの足回りはエンジン性能が上がったことで強化されています)。

ジョン・クーパー・ワークス(JCW)のユーザー層

どんな人がジョン・クーパー・ワークスを購入するのか

一口にJCWと言ってもミニ3ドアとミニクロスオーバー・ミニクラブマンのJCWによって少し個性が違います。ミニ3ドアは重量や視点の低さ、ホイールベースなどがそもそもスポーツ寄りなので、JCWでも走り寄りの楽しさを感じやすいでしょう。そのため、男性比率が少し高い気がします。

JCWの前にスポーツカーに乗った経験があり、車に詳しいオーナーも多いです。JCWのサスペンションはかなりしっかりとしているのですが「もっと硬いサスペンションにならない?」と言う人も珍しくありません。

しかし、ミニクロスオーバー・ミニクラブマンとなると“走るためのミニとして”JCWを選ぶ人は少なくなってきます。インテリアの豪華さやルーフカラーでチリレッドが選択できること、街であまり見かけないミニに乗りたい、などの理由でJCWを選択する人が多い気がしています。ミニ3ドアでもそういう理由でJCWを選ぶ人が徐々に増えてきていますが、そういう自由なミニの楽しみ方もアリだと思います。

ジョン・クーパー・ワークス(JCW)の維持費


「JCWは維持費がかかるんじゃないの?」という声を聞きますが、エンジンオイルや消耗品の交換サイクルは他グレードのモデルと同じですし、クーパーSと燃費にそれほど違いはありません。維持費に関しては心配しないでいいでしょう。また、クーパーSとJCWは各ボディバリエーションで67~80万円ほどの価格差がありますが、残価設定型のローンやリースを使えば月々の支払い金額の差は1万円ほどに収めることができます。

ディーゼルモデルとJCWの比較


太いトルクが人気のディーゼルエンジンモデルとJCWのエンジンについて話題になることもあります。走り出しのトルクはクリーンディーゼルの方が上なのですが、JCWは2000回転以上からの加速の伸びが気持ち良く、ガソリン車なのにモリモリとしたトルクを味わいながら高回転まで気持ちのいい加速が続きます。

ディーゼルエンジンの進化のスピードは早いのですが、この気持ちよさはガソリン車でないと実現できないので、JCWはガソリン車のみの設定なのかもしれませんね。ただし、JCWに乗っていると、それほどアクセルを踏んでいるつもりがないのにスピードが出過ぎてしまっていることがあるので気をつけてください。