意外と知られていないミニの安全性
皆さん、ミニの安全性についてどういうイメージを持っていますか? ミニのデザインの良さや走りの面白さは知られていますが、安全性についてはあまり知られていないような気がします。実はミニはBMW譲りの高い安全性を誇っていて、そういった特徴も知っていただければと思います。
昔は高級モデルにのみ搭載されていた各種安全装備ですが、90年代に一般車に広がりはじめ、今ではABSやエアバックの標準搭載は当然のことになりました。現行の第3世代ミニでもルームミラー裏に設置されたカメラでの障害物検知機能や、後方確認用のカメラやセンサーを利用した衝突防止アラームなど、標準搭載もしくはオプションで選択できる安全装備がいくつもあります。
では、一体どのような装備が標準で搭載され、オプションで選択できるのかは御存知でしょうか? 大事な家族や恋人を乗せる、運転に不慣れな人がハンドルを握ることもある、そういう方に知っておいていただきたいミニの安全装備について、これから紹介します。
ミニの安全性のポイント1:シャシーの頑丈さ
まずはMINIに標準で搭載されている安全装備についてお話しましょう。ABSが全車、標準搭載なのは紹介するまでもありません。エアバッグも一部モデルを除き、6ヶ所に装備されています。運転席、助手席正面のエアバッグと側面からの衝突から身を守るサイド・カーテン・エアバッグ(前部、後部座席とも守ってくれる)と頭部を守るヘッドエアバッグを装備しています。
意外に知られていないポイントとしては、非常に頑丈なシャシーが採用されていることでしょうか。これもミニの衝突安全性に大きく影響しています。シャシーの頑丈さは「ねじれ剛性が強い」などと表現され、これはゴーカート・フィーリングなどの運転性能に大きなメリットがあり、運動性能の側面から話されることがほとんどです。
しかし、しっかりとしたシャシーが安全性能にも大きく貢献しているのです。頑丈なシャシーは前後の座席を含めた居住スペースをしっかりと守ってくれます。シャシーが頑丈でない車は事故に巻き込まれるとドアが変形し、開閉できなくなることがあります。しかし、シャシーが頑丈なミニでは、多少シャシーに衝撃が加わった程度では居住スペース周辺のシャシーが変形することはありません。
これはシャシーの話ではありませんが、ミニの頑丈さはドアを開閉したときにわかります。ミニオーナーの中には「ミニのドアを閉めたときの重厚な音が好き」という方もいます。ミニのドアは他メーカーの車からすると重く感じられるのですが、これもシャシーと同様、ボディも頑丈に作られているのが理由です。
また、第3世代からミニ3ドアは少し大きくなりましたが、ボンネットが少し長くなりノーズが高くなっています。これは正面からの衝突で衝撃を吸収しやすくする(クラッシャブルゾーンを増やす)、歩行者と衝突した際に怪我を最小限に留めるための変更でもあります。
なお、ミニの衝突安全性については別記事にまとめています。よろしければ下記記事もご覧ください。
ミニの安全性のポイント2:ブレーキコントロール技術
次にブレーキについて。ミニにはABSだけではなく、さまざまなブレーキコントロール機能が標準で搭載されています。ABSは万が一の時に作動する安全機能ですが、通常走行時にドライバーを知らず知らずのうちに助けているブレーキ機能が他にも搭載されています。
1つはCBC(コーナリング・ブレーキ・コントロール)。かつての車ではコーナリング時に車体姿勢が崩れることがありました。従来はドライバーがアクセルやブレーキをコントロールし姿勢を制御していましたが、CBCは姿勢変化を察知し、左右別々にブレーキへの力の配分を行い、姿勢を安定させます。ミニを試乗した人なら知っていると思いますが、コーナリング時のミニの安心感や楽しさはこういった制御技術に支えられているのです。
また、第2世代の後期から急ブレーキを踏んだ際に自動的にテールランプが点滅し、後続車に注意を促す、ダイナミック・ブレーキ・ライトも標準搭載されています。後続車からの追突も防ぐ、地味ですが役立つ機能です。そのような機能がミニに標準で搭載されていることを知らない人も多いかもしれません。もしかすると、知らない間にそういった安全技術に助けられているかもしれませんよ。できる限りヒヤっとする機会を減らし、事故を防ぐ、そんな技術がミニのコンパクトなボディの中には詰め込まれているのです。
ミニの安全性のポイント3:車体姿勢を制御する技術
ミニでは上記のブレーキコントロール技術、車体姿勢のコントロールも含めたDSC(ダイナミック・スタビリティ・コントロール)という技術が第3世代のミニには標準採用されています。第2世代までだと、ONEとクーパーはASC+T(オートマチック スタビリティ コントロール+トラクションコントロール)、クーパーSにDSC(ダイナミック・スタビリティ・コントロール)が採用されていました。ASC+Tはタイヤに伝わる力やブレーキを制御しスリップを防ぐ機能で、DSCはASC+Tの機能に加え、ステアリング操作もモニターし、車体を制御しています。
こう紹介すると非常に難しい技術に思えますが、凍結した路面や雨天時の高速走行時、積雪時の運転をイメージしてみてください。急にタイヤがスリップし、ハンドルが利かなくなると非常に怖い思いをしてしまうでしょう。DSCはこういう状況でも車体がスリップやスライドを起こさないようにサポートしてくれます。ただし、上記の技術が採用されているからと言って万能ではありません。あくまでドライバーを補助するための機能なので、そこはご注意ください。
ミニの安全性のポイント4:ドライビング・アシスト(オプション装備)
第3世代ミニではドライビング・アシストというオプション装備が提供されています。これはアクティブ・クルーズ・コントロール、前車接近警告(歩行者検知機能付き)、衝突回避・被害軽減ブレーキ機能の3機能がセットになったオプション機能で、安全性を重視したい人にオススメのオプションです。
「アクティブ・クルーズ・コントロール」は高速走行時に一定の速度で走行してくれる便利な機能ですが、一定の車間距離を保ち、減速まで行ってくれます。フロントガラス上部に設置されたカメラが前方の障害物を感知し、加速だけでなく減速までをコントロールしてくれるのです。
※2021年3月のマイナーチェンジ以降、アクティブ・クルーズ・コントロールは渋滞時のストップ&ゴーにも対応できるようになりました。
「前車接近警告(歩行者検知機能付き)」と「衝突回避・被害軽減ブレーキ機能」も、このフロントカメラからの情報で機能しています。「前車接近警告(歩行者検知機能付き)」では前方に車や人を感知し、接近すると警告アラームが発せられ、「衝突回避・被害軽減ブレーキ機能」では衝突の危険性を感知すると速度を落としたり、急ブレーキを短時間で作動させたりします。
ミニの安全性のポイント5:パーク・ディスタンス・コントロール(オプション装備)
パーク・ディスタンス・コントロール(PDC)は、車両の前後の障害物との距離を音とモニター表示でドライバーにお知らせする機能です。万が一、ドライバーが前後確認で何か見落としがあったとしても、センサーが感知して知らせてくれるので安心です。
バックカメラの右側(左の場合もあります)に車を上から見た絵と後方にセンサーマークがあるのが分かるかと思います。
ミニの安全性のポイント6:パーキング・アシスト(オプション装備)
また、カメラ&パーキングアシストパッケージも安全性に関わる人気のオプションとなっています。パッケージに含まれるパーキング・アシスト機能は縦列駐車が可能なスペースを自動で検知し、アクセル操作はドライバーが行うものの、ハンドルに触ることなく駐車してくれる機能です。また、別オプションのリアビュー・カメラを購入すれば後方の安全確認がモニター上で行えます。