MINI中古車購入ガイド

第1世代ミニ3ドア(R50、R53)中古車購入ガイド 【初代ミニハッチバック編】

2022.01.31MINI中古車購入ガイド

第1世代ミニ(R50、R52、R53)の歴史

第1世代ミニ(R50、R52、R53)の歴史

第1世代ミニは、ハッチバックモデル1種類だけでスタート

第1世代のミニは2002年3月2日に国内販売が開始され、ミニ3ドア(R50、53)は2002年3月~2007年2月まで、ミニコンバーチブル(R52)は2004年9月~2009年3月まで販売されていました。2002年に登場した第1世代ミニは、ミニ3ドアのONEとクーパー(R50)とクーパーS(R53)の3モデルからスタートしました。ミニコンバーチブルが登場したのは2004年9月になります。今ではオープンカーモデルやSUVにまでボディバリエーションを広げているミニですが、当初はハッチバックタイプのミニ3ドア1種類でスタートしたのです。
記事リンク:ミニ3ドアのカタログ 主要諸元、スペック(R50/R53 MINI 3 DOOR)
記事リンク:ミニクーパーの歴史(1959年~現在まで)

第1世代ミニは90年代に開発がスタートしていました

第1世代ミニは90年代に開発がスタートしていました
第1世代のミニはローバー・ミニが現役だった1990年代に開発がスタートし、90年代後半に数台のコンセプトモデルが発表されました。当時発表されたニュー・ミニのデザインに賛否の声が上がっていました。90年代の終わりには第1世代ミニのデザインに落ち着き、21世紀の発売へのカウントダウンが始まります。

当時のローバー・ミニのオーナーからは、どちらかといえば新デザインへの否定的な意見が多かったです。ミニのように伝統的なデザインを“良し”とする世界では、ニューモデル、しかもローバーからBMWへと法人が変わってのニュー・ミニだったので仕方がない反応だったのでしょう。クラシック・ミニのデザインをそのまま踏襲するワケではなく、それでいてミニらしさを感じさせるデザイン…相反する要望が課されていたデザイナーは苦労したのでしょう。

国外では2001年末に販売がスタートしたニュー・ミニですが、日本では数ヶ月遅れて2002年3月2日、「ミニの日」に販売が開始されました。ローバー・ミニの販売終了から1年強のブランクで登場したニュー・ミニは、ローバー・ミニファンからはともかく、一般の方からは好意的な反応で出迎えられました。それはその後の販売台数の推移からもわかります。

第1世代ミニの特徴

第1世代ミニの特徴

クラシック・ミニ、第1~3世代はどう違うのか? スペック比較

ローバーミニ クーパー1.3i 第1世代 MINI クーパー 第2世代 MINI クーパー 第3世代 MINI クーパー
4速MT (4速AT) 5速MT 6速MT 6速MT
全長(mm) 3,075 3,650 3,740 3,835
全幅(mm) 1,440 1,690 1,685 1,725
全高(mm) 1,330 1,445 1,430 1,415
ホイールベース(mm) 2,035 2,465 2,465 2,495
重量(kg) 710 (730) 1,140 1,170 1,170
排気量(cc) 1,271 1,598 1,598 1,498
最高出力(ps) 62ps ( 53ps ) 116ps 122ps 136ps
最大トルク 94Nm ( 91Nm ) 149Nm 160Nm 220Nm
タイヤ 145/ 70SR12 175/ 65R15 175/ 65R15 175/ 65R15
燃費 13.4km/L 18.8km/L 19.2km/L

クラシック・ミニと比較すると第1世代ミニは全長で+57.5cm、全幅は+25㎝、全高11.5㎝と大幅にサイズが拡大し、ホイールベースは+43㎝、重量も410~430㎏も重くなりました。「コンパクトさがミニの魅力だったのに…」という声をよく聞きましたが、1959年の誕生から基本設計を大きく変えずに販売されていたクラシック・ミニは、21世紀にそのまま新車販売を続けられる車ではありませんでした。

安全性能や環境規制の変化、一般の人が求める居住空間や積載性を考えてもニュー・ミニをクラシック・ミニと同じサイズで設計するのは不可能だったでしょう。そうした試行錯誤の結果、誕生した第1世代のミニです。衝突安全性を高めた剛性の高いボディと合計6ヶ所に配置されたエアバッグ、ABSなどの足回りの安全性能など、クラシックなミニから現代のミニへと一気に進化を遂げました。

第1世代ミニのラインナップ、グレードごとのスペック、販売価格について

第1世代ミニのラインナップ、グレードごとのスペック、販売価格について
続いて第1世代ミニのラインナップ、グレードごとのスペック、販売価格を紹介します。販売価格は当時の新車販売価格になります。

車種名 ミニ3ドア(ハッチバック) ミニコンバーチブル
R50 R50 R53 R52 R52
グレード ONE クーパー クーパーS クーパー クーパーS
ミッション
  • 5MT
  • CVT(AT)
  • 5MT
  • CVT(AT)
  • 6MT
  • 6AT
  • 5MT
  • CVT(AT)
  • 6MT
  • 6AT
当時の新車価格
  • MT 210万円
  • AT 221万円
  • MT 244万円
  • AT 255万円
  • MT 285万円
  • AT 301万円
  • MT 288万円
  • AT 299万円
  • MT 330万円
  • AT 346万円
全長(mm) 3,650 3,650 3,655 3,650 3,655
全幅(mm) 1,690 1,690 1,690 1,690 1,690
全高(mm) 1,455 1,455 1,455 1,415 1,415
車両重量(kg) 1,130 1,140 1,180 1,270 1,310
排気量(㏄) 1,598 1,598 1,598 1,598 1,598
最高出力 90ps 116ps 170ps 116ps 170ps
最大トルク 140Nm 149Nm 220Nm 149Nm 220Nm
燃費
  • MT 14.0km/L
  • AT 11.8km/L
  • MT 13.4km/L
  • AT 11.6km/L
12.0km/L 12.8km/L 11.2km/L
タイヤ 175/65R15 175/65R15 195/55R16 175/65R15 195/55R16

ローバーミニと比較して、2倍以上のパワーアップ

ローバー・ミニの最終モデルのクーパー(MT車)の最高出力が62psだったのに比べると、R50のクーパー(MT車)は116psと2倍以上のパワーも手に入れています。第1世代のミニは今の道路状況でも何のパワー不足もありません。当時は第1世代のサイズアップが話題になりましたが、現行の第3世代のミニと第1世代を比較すると、むしろ第1世代のコンパクトさが目立ちます。クラシック・ミニと第1~第3世代のミニを並べてみてみると、第1世代ミニはクラシック・ミニから現行モデルの過渡期のミニだったということがよくわかります。

第1世代ミニONEやクーパーのオートマはCVTだった

第1世代ミニONEやクーパーのオートマはCVTだった
第2世代以降のミニと比べた第1世代の特徴をあげていくと、MT車はONEとクーパーは5速ミッション、クーパーSのみに6速ミッションが搭載されていました。AT車はONEやクーパーにはCVT(ATに似た機構の無段変速機)が採用されています。

一方、2004 年12月から導入されたクーパーS(R53)のAT車には、第2世代以降のAT車にも導入されたアイシンAW製の6速ATが採用されました。R53に採用された6速ATは厳密には第2世代以降のモノとは違い、信頼性は第2世代以降のモノの方が優れていました。2002年のATモデルはアクセルを踏んだときの加速感など、日本の道ではギクシャクした走りの印象がありましたが、プログラムのバージョンアップですぐに改善されました。

その後の世代にも受け継がれている第1世代ミニのデザイン

その後の世代にも受け継がれている第1世代ミニのデザイン
その他の違いで言うとフロントグリルやヘッドライト、テールランプなど細部のデザインはクラシック・ミニと違う新設計のモノが採用されました。第1世代ミニのデザインはクラシック・ミニとは大幅に変わりましたが、その後の第2世代、第3世代と比較すると細部のデザインは違うものの、デザインを大幅に変更しないようにしているのが明らかにわかります。第1世代ミニのデザインがBMW MINIのスタンダードとして今後も受け継がれていくのでしょう。そういったデザインへのこだわりはクラシック・ミニの伝統を受け継いでいるようですね。

しっかりとしたステアリングとシャープな足回りが特徴

しっかりとしたステアリングとシャープな足回りが特徴
スピードメーターはクラシック・ミニにも採用されていたセンターメーターです。第2世代モデルにもセンターメーターが採用されていましたが、第1世代ミニのセンターメーターの方が一回りコンパクトでスッキリとしたデザインです。また、第1世代のミニは第2世代以降のモデルと比べるとステアリングが重く感じますが、これはミニ独特のハンドリングを楽しむため、こういう設定になっています。

第2世代以降ではサーボトロニック(車速感応式パワー・ステアリング)という技術が採用され、低速時にはステアリングが軽く、速度が上がるにつれステアリングがしっかりとしてくるように変更が加えられています。

第1世代ミニは「クラシックミニのようなハンドリングをどこまで再現するのか」には相当こだわっていたはずです。また、ターゲットユーザーも運転好きな人であったはずなので、こういった味付けになったのでしょう。そのため、第1世代ミニは第2世代以降のミニと比べて足回りもシャープで硬めな印象です。

第1世代ミニの人気グレードはクーパーS

第1世代ミニの人気グレードはクーパーS
第1世代ミニの中古車で人気なのはクーパーSです。人気の理由はいくつかあります。まずクーパーSは後で紹介するCVTトラブルが起きない6速ATであること(6速ATでも稀にミッショントラブルはあります)。次にクーパーSは、第2世代以降のターボチャージャーではなく、スーパーチャージャーが搭載されており、ターボとは違った加速が楽しめる点です。

これから第1世代ミニを購入しようという方なら、手頃な値段のクーパーSをベースにあちこち手を入れながら、楽しむのもいいかもしれません。ちなみに第1世代ミニは現行モデルよりMT車が数多く販売されたので、MT車の中古車を探すのもそれほど難しくありません。

第1世代ミニでよくあるトラブル、故障

第1世代ミニでよくあるトラブル、故障

よくあるトラブルと修理代金について

次に第1世代ミニでよくあるトラブルとその修理代金についてお話しておきましょう。第1世代ミニは100万円を切る車両が多く、手頃に購入できそうに見えますが、故障で修理代金が発生するリスクを考え、予算に余裕を持って購入してください(BMW MINIで信頼感が大幅に上がったのは第2世代以降のモデルです)。下記で第1世代ミニでよくあるトラブルをご紹介します。

CVTの故障は修理費が高額

まず、第1世代ミニでの代表的なトラブルはONEやクーパーのAT車に採用されているCVT(無段変速機)の故障です。歯車を使わずに変速ができるCVTは通常のAT機構より小型化が可能で部品点数も押さえられるため、国産車でも一般的に採用されている機構です。ただ、ミニのCVT採用モデルでは内部のベルトやベアリングの破損によるトラブルが一定の割合で発生していました。

昔はCVTが故障するとトランスミッションのアッセンブリー交換(丸ごと交換)で70~80万円近くの修理代金がかかっていました。しかし、今はCVTの分解修理ができるようになっており、ダメージの程度にもよりますが、15万円ほどで修理できるようです。よく壊れるのはCVT内部のベルトやベアリングなのですが、対策部品を使って修理すれば、その後の不安はかなり減るようです。

第1世代ミニのトラブルは電気系パーツにも多い

他に起こりがちなトラブルはサイドミラーの自動格納機能が働かなくなる故障です。サイドミラー内には角度調整と格納用の2つのモーターが収められているのですが、このモーターが故障してサイドミラーが格納できなくなります。サイドミラーは1つ3万5000円くらいで新しいモノが購入でき、交換工賃もそれほど高くありません。

もう1点、パワーウィンドウが動かなくなる故障もよく起こりました。こちらもドアパネル内に内蔵されたパワーウィンドウを上下させるためのモーターが故障の原因です。修理代金は交換部品が4万円ほど、工賃が2万円ほどですね。その他のトラブルでは、パワーステアリングポンプの故障(電動パワステの部品が壊れ、ハンドルが重くなる)、エアコンのコンプレッサー、電動ファン、オルタネーターなど電気系にトラブルが集中します。第2世代以降のミニでは、このような電気系の故障はほとんど聞かなくなりました。第1世代ミニのエンジンは非常に頑丈で寿命が長いのですが、CVTと電気系パーツに注意が必要です。

トラブルがあるが、魅力に溢れた第1世代ミニ

トラブルの話で少し不安がらせてしまったかもしれませんが、深刻なトラブルも無く、長く第1世代のミニを楽しんでいる方もいます。電気系のトラブルは未然に防ぐことは難しいのですが、定期的なオイル交換や運転中に異音や違和感を感じた際は放置せず専門店に相談してください。そうすれば深刻なトラブルに陥る前に修理することも可能です。

第1世代ミニメンテナンス・維持費

第1世代ミニメンテナンス・維持費

ミニのオイルは距離を重ねると減ってきます

第1世代に限らず、第2世代以降のミニでもエンジンを掛ける度にメーターに「次回のオイル交換まであと○○㎞です」と表示されるシステムになっています。走行距離を重ねると表示される距離がマイナスされて、オイル交換サイクルを教えてくれるのです。このエンジン交換サイクルの距離はエンジンの回し方などで違いがあり、第1世代ミニでは15,000㎞~20,000㎞ほどのサイクルとなっています。このメーター指定のタイミングで交換すればいいと思っている人が多いと思いますが、指定のサイクルで交換した車両で約4.5Lあるはずのオイル残量が1.5Lほどに減っている車両もあります。1.5Lのオイル残量はエンジンチェックランプが点灯するギリギリの量なのでアラームは出ませんが、このオイル量ではエンジン全体を潤滑するには到底足りていません。

こうなる前に定期的なオイルの継ぎ足しが最低限必要になってくるのですが、継ぎ足されたオイルは汚れたオイルと混ざり、せっかくのオイルの性能を発揮できません。エンジンのコンディションを長く保つためには、少し早いタイミングでのオイル交換が必要になってきます。交換サイクルは車のコンディションや皆さんのミニの使用状況によって変わりますので、担当のメカニックとよく相談してみて下さい。

オイルが減った状態で長く走行していると、徐々にオイルを食うエンジンになり、エンジン寿命が短くなってしまいます。ちなみに、エンジンオイルは第2世代のエンジンの方が消費は激しい印象があります。第1世代ミニではONE、クーパー、クーパーSやAT車やMT車でオイル消費量にそれほど変化はありませんが、第2世代はそもそもオイル消費がやや多く、回転数を回しがちなクーパーSのオイル消費はONEやクーパーより多い印象です。

第1世代ミニの燃費は、MTで11km/L程度

専門店はオイル交換時にオイル漏れや他のトラブルのチェックも行うので、オイル交換を定期的に行っている車両は寿命が長くなりますよ。またAT車の場合、トランスミッションを潤滑しているATF(オートマチックトランスミッションフルード)も、4年もしくは40,000㎞ごとに交換が必要です。なお、車両の状態は悪くなると燃費が徐々に悪化していきます。第1世代ミニの場合、AT車で9~10km/L、MT車で11㎞/Lくらいの燃費があればコンディションは上々です。燃費に関しては第2世代からグッと良くなるので、第1世代ミニはガソリン代が少し高いことは覚悟しておきましょう。

手間をかければ、いいパートナーになる第1世代ミニ

手間をかければ、いいパートナーになる第1世代ミニ
第1世代ミニは非常に面白い車です。クラシック・ミニからBMW MINIへバトンタッチした最初のモデル、第1世代モデルの評判が高くなければ、その後の第2、第3世代へとミニの歴史は続かなかったでしょう。ただし、第1世代ミニの基本設計は1990年代です。そのため第2世代以降のモデルほどの信頼性はありません。クラシック・ミニほどではありませんが、オーナーが多少気を遣ってあげなければいけない車です。販売されてから時間が経ち、かなりの距離を走っている車も多いですからね。そのあたりを理解した上で、デザインやサイズ、価格の手頃さから選ぶのでしたら、第1世代のミニはいいパートナーになってくれるでしょう。