似ているようで違う、新旧ミニ3ドアの違いって?
2014年4月から販売がスタートした第3世代のミニ3ドア(以下、F56)ですが、それ以前の第2世代のミニ3ドア(以下、R56)との違いについてご存知でしょうか? クラシックミニから受け継がれたミニの伝統に「デザインは大きく変えない」というポリシーがあります。そのため、パッと見るだけではどこが違うのか、なかなかわかりにくいですよね。そこで今回は第3世代ミニ3ドア(F56)のクーパー(2014年モデル)と第2世代ミニ3ドア(R56)のクーパー(2010年モデル)を比較して、両モデルにどういった違いがあるのかをご紹介いたします。
新旧ミニ3ドアのエンジンの違い
排気量は100ccダウン。しかしパワーは大幅増
まずはエンジンの違いです。R56のミニクーパーは1598㏄、F56のミニクーパーは1498㏄と第3世代になり排気量が100㏄下がりました。排気量が小さくなったと聞くとパワーが無くなったように思いがちですが、F56のエンジンにはターボが搭載されたので逆にパワーは上がっています。街中で走らせるとF56の方が低速から高速まで気持ちのいい加速が楽しめますよ。
実際、クーパーの最高出力は120psから136ps、最大トルクは160Nm→220Nmへとパワーアップしています。R56ではクーパーSのみに採用されていたターボが、F56ではONE、クーパー、クーパーSの全グレードに搭載されたのは非常に大きな違いと言えるでしょう。どの回転域でもトルクが太くなった(力強い加速をする)ことがF56のエンジンの最大のメリットです。ちなみに、パワーが上がったにも関わらず、燃費はR56の18.8km/LからF56では19.2km/Lへと少しだけ向上しています(MT車の数値)。
新型ミニクーパーF56 | 先代ミニクーパーR56 | |
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エンジン | 直列3気筒DOHCターボ | 直列4気筒DOHC |
排気量 | 1,498cc | 1,598cc |
タンク容量 | 40L | 40L |
最高出力 | 136ps | 122ps |
最大トルク | 220Nm | 160Nm |
燃費(JC08モード走行) | 17.7km/L | 15.4km/L |
新旧ミニ3ドアのボディサイズの違い
現行ミニクーパーは3ナンバー化
新型ミニF56 | 先代ミニR56 | |
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全長 | 3,835mm | 3,740mm |
全幅 | 1,725mm | 1,685mm |
全高 | 1,430mm | 1,415mm |
ホイールベース | 2,495mm | 2,465mm |
車両重量 | 1,210kg | 1,170kg |
最小回転半径 | 5.3m | 5.1m |
次にわかりやすい違いはF56でボディサイズが大きくなったことです。5ナンバーから3ナンバーサイズへと大きくなったので、サイズの違いはよく話題に上ります。具体的にはR56の全長×全幅×全高が3,700mm×1,685mm×1,430mm、F56が3,835mm×1,725mm×1,430mm、ホイールベースも2,465mmから2,495mmと3cm延長されています。重量もR56の1,170kgからF56の1,210kgへと増えていますが、体感できる差ではないでしょう。
ボディサイズが大きくなったことには賛否両論がありましたが、後部座席が広くなったこと、荷物の積載量が160Lから211Lへと拡大されたメリットは大きいでしょう。また、従来は5:5で分割して倒すようになっていたリアシートがF56では4:6に分割して倒すように設計が変更されました。この違いは意外と荷物の積載性に大きく影響をしており、ゴルフバッグの積載性はかなり良くなっています。
ゴーカートフィーリングは健在
ボディサイズが大きくなったことでミニ独自の運転の面白さ、"ゴーカートフィーリング" が犠牲になったのか、と勘違いするかもしれませんが、その点はご安心ください。ミニのコンパクトさも"ゴーカートフィーリング" の構成要素の1つではありますが、他メーカーの車と比較してもF56でも充分にコンパクトですし、ワイドトレッド・ロングホイールベース(タイヤが車の四隅ギリギリに配置されていること)は健在、視点の低さによるスピード感も充分に味わうことができます。ミニらしいデザインとミニらしい面白さを求める方にはF56は自信を持ってオススメできるモデルです。
新旧ミニ3ドアのエクステリアの違い
新旧ミニ3ドアのフロントマスクの違い
次に新旧ミニクーパーのエクステリアの違いについてご紹介しましょう。まず、わかりやすいのはフロントマスクの違いですね。フロントグリルのデザインがF56からクラシックミニに採用されていたグリル風のデザインになり、メッキ部分が増えて個性が強くなりました。
ヘッドライトやフォグランプのデザインもわずかですが変更されています。灯火類のデザインを見直したものの、形状を大きく変えないのは伝統のデザインを守る、ミニらしい決断と言えるでしょう。フルモデルチェンジでビックリするようなデザイン変更がないのは嬉しいことですね。
新旧ミニ3ドアのリアまわりの違い
リアのデザインもぼんやりと見ているだけでは違いがわかりづらいのですが、テールランプのサイズがF56になってから大きく、幅もあるモノに変更になっています。ミニでも一部モデルでは横型のテールランプが採用されていますが(第2世代のミニペースマンや現行のミニクラブマン)、この縦型のテールランプは1959年のクラシックミニ時代から続く、伝統的なデザインの1つです。
テールランプの大型化に伴い、ハッチバックのドア形状も少しだけ変化しています。バックランプもR56より幅が短く、少しぶ厚いモノに変更されました。あまり気づく人はいませんが、マフラーの取り出し位置がR56の右側からF56では左側に変更されています。
新旧ミニ3ドアのサイドビューの違い
側面から見たデザインの違いもなかなか見つけるのが難しいポイントです。まずは給油口が従来の左側からF56では右側に変更されたこと。これはMINIとBMWでプラットフォームを共通化されたことの影響でしょう。他にはサイドスカットルの大きさ、取り付け位置が変わったことくらいでしょうか。
よく見るとドアノブに取り付けられていた鍵穴がノブの裏に隠されたり、ドアパネルなどのプレス形状が微妙に変更されたりと些細な修正が加えられた点はまだありますが、違いがわかりづらいかもしれません。しかし、新旧モデルともに真横から見てミニだとわかるデザインなのは素晴らしいことと言えるでしょう。
新旧ミニ3ドアのインテリアの違い
ミニ伝統のセンターメーターが移動
運転席に座ってすぐに気付くのが、先代ミニではのダッシュボード中央にあったセンターメーターが、ステアリング前面に移動したことでしょう。先代ミニの場合、ダッシュボードの真ん中にスピードメーター、ステアリング前面にタコメーター(回転数を確認するメーター)が取り付けられていました。一方新型はステアリングの前にスピードメーターとタコメーターがセットで取り付けられています。
純正初のビルトインタイプのナビが登場
センターメーターが移動したことで、ダッシュボードの中央にはセンターディスプレイ(ラジオ局名など簡単な情報を表示)が配置されています。またオプションで、待望のビルトインタイプの純正ナビゲーションが採用されました。
一部グレードではビルトインタイプのナビはオプション設定になっていますが、F56のナビは工場出荷時にのみ取り付けが可能で、納車後の追加オーダーはできませんので注意してください。なお、センターディスプレイを飾るLEDチューブが美しい、MINIエキサイトメントパッケージも工場出荷時のみのオーダーとなります。
センターパネルのスイッチ類の変更
センターパネルに配置されたスイッチ類もいくつか変更されました。先代ミニまではセンターパネルにあったサイドウィンドウやドアロックスイッチが、一般的な自動車同様にドア横に移動し、操作しやすくなりました。R56ではミニのエンブレムを模してデザインされていたスイッチですが、F56ではシンプルなデザインに変更されていますね。
ドア横に移動したスイッチ
R56ではドア横にスイッチ類はほとんどありませんでしたが、F56からサイドウィンドウやドアロックスイッチがドア側に移動してきました。国産車から乗り換えた方からは違和感なくスイッチ操作ができるので好評です。なお、第2世代ミニクロスオーバー(R60)でも2014年9月のマイナーチェンジ後にF56と同様にサイドウィンドウとドアロックスイッチがドア側に移動しています。
スマートキーの採用
F56から新型のスマートキーが採用になっています。このため、ステアリング横にキーを指すスロットルが設けられていません。スマートキーはポケットに入れっぱなしのまま、センターパネルの赤いトグルスイッチをONにするだけでエンジン始動が可能です。なお、先代ミニのキースロットルがあった場所にはF56ではヘッドライト専用のスイッチが移設されています。
スマホやタブレット充電に便利なUSBジャック
R56ではオプションアクセサリーのMINIビジュアルブーストを搭載したモデルのみUSBジャックが用意されていましたが、F56ではセンターパネル下にUSBジャック、シガーソケットなどが標準で用意されています。R56でもUSBシガーチャージャーを購入すればシガーソケットをスマートフォンや音楽プレイヤーの充電に利用できましたが、やはり標準装備だと嬉しいものですよね。
スポーツボタンからMINIドライビングモードへ
もう1点。これはデザインではなく機能面の変化ですが、R56で「スポーツボタン」と呼ばれていたオプションが、新型ミニでは「MINIドライビングモード」に進化しました。スポーツボタンはボタンを押すことでアクセルのレスポンス向上したり、ステアリングに適度な重みが加わったりと、スポーツマインドを高めてくれる走りを楽しむことができました(ATモデルは、シフトタイミングも変化していました)。
新型ミニのMINIドライビングモードでも同様の変化が楽しめるのですが、選択できるモードがグリーン、ミッド、スポーツの3種類に増えています。新しく追加されたグリーンモードは高燃費な運転ができるモードで、ご家族が運転する際に喜ばれるかもしれません。
なお、MINIドライビングモードに別オプションの「ダイナミック・ダンパー・コントロール」を組み合わせれば、ドライビングモードの変更でサスペンション設定も変更されるようになります。一層のスポーツ走行が楽しめるでしょう。
現行ミニ3ドアでボンネットオープンレバーが運転席へ
最後に。これはあまり注目されていませんが、ボンネットオープンレバーがR56での助手席の足元から運転席側に移動しました。ボンネットオープンレバーを使うことはあまりないかもしれませんが、オイルレベルチェックなどでボンネットを開け閉めする機会が多い人には意外と便利です。